問1. 2000年の地方分権改革後、自治体の事務でなくなったものを1つ選びなさい。
正解=1
団体委任事務は廃止されました。
問2. 自治体の義務履行確保の手段として用意されているもののうち、ふさわしくないものを1つ選びなさい。
正解=4
義務付け訴訟とは、行政訴訟法上の抗告訴訟の1つであり、一般私人等が行政庁に対し、特定の行政行為を行うよう請求する訴訟のことです。許可申請を拒否されたものが申請に係る許可をせよとの給付判決を求める訴訟などがこれに当たります(行政事件訴訟法37条の2)。
問3. 条例の総則規定を定める際に、入れなければならない規定としてふさわしくないものを1つ選びなさい。
正解=3
罰則規定は、通常は、総則規定、実体規定、雑則規定が終わった後に入れるものであり、罰則規定の後に附則規定が入るのが普通です。
問4. いわゆる「上乗せ条例」の説明としてふさわしいものを次のうちから1つ選びなさい。
正解=4
2は、いわゆる「横出し条例」です。1,3は、存在しないかありえないものです。
問5. A市の市民プールで、市が採用したプール監視員が少しの間目を離したすきに、遊泳中の10歳の児童がおぼれて水死する事故が起きた。この場合、A市が問われる責任として想定されるもののうち可能性の高いものを1つ選びなさい。
正解=3
国家賠償法2条1項の規定にされています。
1=児童は保護に値する年齢であり、市に責任がないという論理は成り立ちません。
2=プール監視員を地方公務員(臨時的任用:地方公務員法22条)とするか契約関係とするかは見解の分かれるところであり、国家賠償法1条が適用されると断言はできません。
4=プール監視員のみに責任が及びA市に責任がないというのは、いくつかの判例の流れからも想定しにくいものです(明石市市民祭り花火事故訴訟・神戸地裁平17.6.28、ふじみ野市市民プール事故訴訟・東京高裁平20.3.30等)。
問6. 行政課題を解決するために誘導的手法を採用する際に留意すべき事項として、次のうち妥当でないものを選びなさい。
正解=3
1、2、4は正しい。なお、4は、行政指導はあくまでも相手方の任意の協力によって実現されるべきものであるとの行政手続制度の趣旨を確認しておく必要がある。 3 は、公表により影響を受ける者に取り返しのつかない損害を与えないよう留意すべきであるので、誤り。なお、「公表の方法や影響についての配慮において相当性を欠いた」として、国の損害賠償義務が肯定された、いわゆるO-157事件判決(東京高判H15.5.21)も参照のこと。『自治体法務検定公式テキスト』P.56参照。
問7. 国家賠償制度における公権力の行使に関する責任についての記述のうち、妥当でないものを選びなさい。
正解=2
国家賠償制度の下における公務員概念は広いもので、組織上の公務員のほか、本質的に公権力の行使たる公務の遂行に携わる者をいう。民間人でも、権力的な行政の権能を委任されている者は、その権限を行使する限りで「公務員」に含まれる。したがって、2は誤り。その他は、正しい。『自治体法務検定公式テキスト』P.188~189参照。
問8. 地方自治法の「附属機関又は専門委員」に関する次の記述のうち、妥当なものを選びなさい。
正解=2
1は、附属機関から出された答申を尊重することは求められるが、法的に拘束されるものではないため、誤り。3は、専門委員は独任制なので、誤り。専門委員の選任については、議会の関与は予定されていないので、誤り。2が正しい。『自治体法務検定公式テキスト』P.220参照。
問9. 自治体が実施する「パブリック・コメント」に関する次の記述のうち、妥当なものを選びなさい。
正解=4
1は、行政手続法は、自治体の判断で重要な行政計画案や条例案を対象とし、場合によって条例化することを阻害する趣旨ではないため、誤り。
2は、各自治体の判断ではあるが、一般に、広く意見を募集することが認められているため、誤り。
3 は、公益上、緊急に定める必要がある場合は、行政手続法では意見公募手続が義務付けられてはおらず(行政手続法39条4項1号)、自治体が実施するパブリック・コメントも、あえてそのような場合まで義務付ける意義がないため、誤り(なお、「一律に30日間」は全く理由がないため、明らかに誤り。)。4は正しい。『自治体法務検定公式テキスト』P.244参照。
問10. 現在、ほとんどの自治体で情報公開条例が定められている。しかし、開示請求権者の範囲については、一律に定められていない。そこで、「開示請求権者の範囲」として最も適切でない立法例を、次のうちから選びなさい。
正解=3
1は、「情報公開制度は住民の税金で維持運営されている制度である以上その制度の受益者は基本的に住民であるべきだ」とする納税者の権利から説明する考え方、「情報公開制度は行政の説明責任を果たすための制度であり、住民の側からすれば住民参加の1つである」とする考え方などがあり、いずれも住民自治の側面から説明されるもので、一定の合理的理由があるため、正しい。 2は、1を一歩進めて対象範囲を拡大しているため、正しい。 4は、情報公開請求権は憲法上保障された基本的人権である「知る権利」の具体化としての意義を重視するものなので、正しい。 3は、外国人であることをもって一律に対象外にしているので、一般に合理的理由が見当たらず、自治体法務に必要な原則である平等原則からして、最も適切でない立法例である。『自治体法務検定公式テキスト』P.251(「平等原則」についてはP.19)参照。
問11. 「自治体の仕事と法治主義」に関する次の記述のうち、妥当なものを選びなさい。
正解=1
自治体は、何らかの法的な規範に基づき行政を執行しているため、1が正しい。 仮に直接的な法律や条例の規定が事務事業であったとしても、その予算の執行は地方財政法や予算決算会計規則に基づき実施され、作成する文書は文書取扱規程に従い必要な手続を経て公文書として位置付けられ情報公開条例等の適用を受ける。また、そもそも自治体職員は、地方自治法や地方公務員法の適用を受けて仕事をしている。よって、2、3、4は誤り。『自治体法務検定公式テキスト』 P.2参照。
問12 条例の立法事実の収集・整理をする時期として、次のうち妥当なものを選びなさい。
正解=1
条例の立法事実は、制定後の条例の存続を支えるものでもあるが、そもそも条例の成立を支えるべきものなので、1が正しい。 2、3、4は、理由がないので誤り。『自治体法務検定公式テキスト』P.46参照。
問13. A市の情報公開条例では、「住民は、実施機関に対して行政文書の開示を請求できる。」と規定されている。A市では、この「住民」を文言どおり解釈すると「A市内に住所を有する個人」に限られると考えていたが、A市が保有する情報の一層の公開を促進するという本条例の趣旨を踏まえて、「A市内に主たる事務所を有する法人」や「A市内に存する学校に在学する者」などにも、開示請求を認めている。こうした運用をするに至った経緯として、A市は本条例の「住民」について「ある解釈」をしたことになるが、この「ある解釈」とは何か、次のうちから最も妥当なものを選びなさい。
正解=1
1の「拡張解釈」は、「法令で用いている言葉を通常使っている意味よりも少し広げて解釈すること」である。 2の「縮小解釈」は、「法令で用いている言葉を通常使っている意味よりも少し狭くして解釈すること」である。 3の「変更解釈」は、「法令で用いている言葉を変更して、別の言葉を当てはめて、別の意味に解釈すること」である。 4の「反対解釈」は、「ある法令の裏側には、その規定と逆の場合には逆の効果を生ずるという別の規定が存在するという解釈をすること」である。 よって、①が正解。『自治体法務検定公式テキスト』P.131参照。
問14. 行政庁が処分をする場合(口頭で処分をする場合を除く。)において、行政不服審査法上、相手方に対して教示しなければならないこととされている事項に該当しないものを、次のうちから選びなさい。
正解=3
「行政庁は、審査請求若しくは異議申立て又は他の法令に基づく不服申立て(以下この条において単に「不服申立て」という。)をすることができる処分をする場合には、処分の相手方に対し、当該処分につき不服申立てをすることができる旨並びに不服申立てをすべき行政庁及び不服申立てをすることができる期間を書面で教示しなければならない。」(行政不服審査法57条1項)により、③が正しい。『自治体法務検定公式テキスト』P. 166参照。
問15. 地方自治法の「指定管理者制度」に関する次の記述のうち、妥当でないものを選びなさい。
正解=3
1、2は、「普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であって当該普通地方公共団体が指定するもの〔略〕に、当該公の施設の管理を行わせることができる。」(地方自治法244条の2第3項)と規定されているので、正しい。 4は、「普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。」(地方自治法244条の2第6項)と規定されているので、正しい。 3は、地方自治法244条の2第3項の「法人その他の団体」は株式会社を排除する趣旨ではないので、誤り。『自治体法務検定公式テキスト』P. 206参照。
問16. A市では、「個人情報の保護に関する法律」の趣旨にのっとり改正した「A市個人情報保護条例」が施行されている。そこで、A市の行政機関が保有する個人情報の取扱いについての次の記述のうち、妥当でないものを選びなさい。
正解=3
1の収集目的の明確化、2の正確性の確保、4のいわゆるセンシティブ情報の収集の原則禁止は、いずれも法律の趣旨にかなっているので、正しい。 3は、目的外利用及び実施機関以外のものへの提供の原則的禁止に反しているので、誤り。『自治体法務検定公式テキスト』P. 263参照。
問17. 国家賠償法に基づくいわゆる「営造物責任」に関する次の記述のうち、明らかに妥当でないものを選びなさい。
正解=4
1は、国家賠償法3条1項の規定により、正しい。 2は、国家賠償法2条2項の規定により、正しい。 3は、国家賠償法4条の規定により、正しい。そこで、過失相殺(民法722条2項)も適用されるので、4は誤り。『自治体法務検定公式テキスト』P. 193参照。
問18. 法的活動の種類には「立法法務」「解釈運用法務」「争訟法務」「評価法務」「審査法務」「基礎法務」があるが、「自治体におけるいっさいの法的活動とこれを支える法理論」と定義した場合における「自治体法務」に関する次の記述のうち、妥当なものを選びなさい。
正解=4
1は、「立法法務」「解釈運用法務」「争訟法務」「評価法務」は「政策法務」に該当する活動であるが、これら以外の法務の種類も含めて「自治体法務」であるため、誤り。 2、3はまったく理由がないため、誤り。 設問において、「『自治体におけるいっさいの法的活動とこれを支える法理論』と定義した場合における自治体法務」とあえて説明していることから、容易に正解4が得られる。『自治体法務検定公式テキスト』P.2参照。
問19. 自治体法務のマネジメントに関する次の記述のうち、妥当でないものを選びなさい。
正解=4
1、2、3は正しい。4は、評価・見直しについても自治体において行われるので、誤り。自治体においては、法律の評価を行い見直しが必要な場合は、国に対する法律改正の要望を行い、この要望が受け入れられなかったときや十分でなかったときは、法律の解釈・運用の変更や自主的な条例の企画立案を行うことになる。『自治体法務検定公式テキスト』P.21参照。
問20. 国又は自治体(以下「自治体等」という。)の公の営造物の設置管理の責任に関する記述のうち、最も妥当でないものを選びなさい。
正解=1
公の営造物の設置管理の瑕疵に関する賠償責任は、施設を作って市民に提供している以上そこから生ずる危険については設置主体がその責任を負うべきとする危険責任をいう考え方が背景にある。したがって、安全性を欠くにいたっているのにこれを放置することは許されず、財政的対策費用がかかるという理由では免責されない。したがって、①は誤り。その他は、正しい。『自治体法務検定公式テキスト』P191ページ~P194ページ参照。
問21. 2000年の地方分権改革後において、自治体の政策に訴訟を活用し、もって自治体政策の実効性を確保しようとする考え方・具体的取組として、「政策訟務」が注目されてきている。そこで、この「政策訟務」の考え方・取組姿勢として、次のうち妥当でないものを選びなさい。
正解=4
「政策訟務」には、訴訟結果を活用することのみではなく、不法占拠に対して民事上の妨害排除請求を行ったり、給食費の不払いに対して支払督促を行ったりするなど、自治体自らが訴訟制度を積極的に活用することも含まれているので、4は妥当でない。 1、2、3は妥当である。『自治体法務検定公式テキスト』 P.195頁参照
問22. 「立法事実」に関する次の記述のうち、妥当でないものを選びなさい。
正解=3
「立法事実の説明資料」は、目的の正当性及び手段の必要性と合理性を裁判所に主張できなければならない「規制条例」こそ、条例案検討段階において作成されるべきである。よって3は、妥当でない。『自治体法務検定公式テキスト』46頁参照 で、4は妥当でない。 1、2、3は妥当である。『自治体法務検定公式テキスト』 P.195頁参照
問23. 「法治主義」又は「法律による行政の原理」に関する次の記述のうち、妥当なものを選びなさい。
正解=2
「法治主義」とは、様々な主体が、国民・市民の支持を得た「法」に服さなければならず、「法」に基づいて行動する義務を負うことをいう。1は、「法」に基づかないで行政運営をすることは許されていないので(⇒法治行政)、妥当でない。3は、法律が行政活動に優位するので、妥当でない。4は、「侵害留保説」が判例・通説の立場であるので、妥当でない。『自治体法務検定公式テキスト』P.16参照。
問24. 条例による知事の権限に属する事務の処理の特例に関する次の記述のうち、妥当なものを選びなさい。
正解=2
1は、要綱に基づく知事の権限に属する事務は移譲できないので、妥当でない。3は、議会の議決を要するので、妥当でない。4は、包括的な指揮監督権は認められないので、妥当でない。委譲できる事務は、法律、政令や省令又は都道府県の条例や規則により具体的に知事の権限となっている事務であり、自治事務か法定受託事務であるかを問わない。よって②が妥当である。『自治体法務検定公式テキスト』P.108参照
問25. A県では、特に環境の保全を図るべき地域については、一定の行為を対象に厳しい許可制を採用している。一方、そこまで厳しい規制的手法を採用するまでには至らないが放置まではすべきでない地域については、「ある規制的手法」を採用することにより、一定の行為が行われる事実を把握し、必要な場合に勧告や命令等をする制度も採用している。ここでいう「ある規制的手法」とは何か、次のうちから妥当なものを1つ選びなさい。
正解=3
1の禁止制は、許可制よりも厳しい規制であるため、妥当でない。2の罰則制は、文脈からして唐突であるので、妥当でない。4の協定制度は、そもそも規制的手法ではなく契約的手法である上に、一定の行為が行われることについての事実を把握する手法ではないので、妥当でない。3の届出制が妥当である。なお、本問は、地域指定をして、許可制と届出制(「届出+勧告命令制」)といった2つの行政手法を組み合わせるものであり、各都道府県の自然公園条例などで採用されている。『自治体法務検定公式テキスト』P.66参照