できるかな

平成22年度「自治体法務検定 政策法務」で出題され、正答率の低かった難問ベスト5 を紹介します。

難問ベスト1 違法行為への対応に関する次の記述のうち、妥当なものを1つ選びなさい。

  1. 行政命令の実効性を確保するための手段については、強制手段の実行により直接的にその命令の実現を図る方法と、命令違反行為に対する行政罰の適用により間接的にその実効性を確保しようとする方法がある。ただし、いずれの方法も、自治体側にとっても、受命者にとっても、負担が大きいことから、これらの手段をとるまえに、緊急時を除き、命令の遵守を求める行政指導を事前に行うことが、法律上、自治体に義務付けられている。
  2. 違反建築物の除却命令は、受命者に対し一定の作為を求め、代替性があることから、受命者がその命令に従わないときは行政代執行法による代執行をすることができる。これに対し、食中毒を理由とした食品衛生法に基づく2週間の営業停止処分は、受命者に不作為を求めるものであることから、行政代執行法による代執行を行うことができず、民事執行法・民事保全法による民事手続を利用してその義務の履行を図ることになる。
  3. 行政罰としての行政刑罰は、刑事手続を経て裁判所により科せられるが、自治体としては、刑事罰に該当する事実があると認めるときは、捜査機関に対して、告訴をしなければならない。このように、告訴をしなければ罪とならない犯罪を親告罪という。
  4. 法律に基づく自治体の事務に関する義務違反に対する行政罰としての過料は、非訟事件手続法により、裁判所(原則として地方裁判所)が過料の裁判によって科する。

正解=4

1は法律上このような義務付けはないので、妥当でない。2は、民事手続は利用できないので、妥当でない。3は告訴ではなく、告発であるので、妥当でない。4は妥当である。

難問ベスト2 OECDの個人情報保護の8原則に関する次の記述のうち、妥当でないものを1つ選びなさい。

  1. 収集制限の原則とは、個人データの収集には制限を設けるべきであり、いかなる個人データも適法かつ公正な手段によって、かつ適当な場合にはデータ主体に知らしめ又は同意を得た上で、収集されるべきであるとする原則である。
  2. データ内容の原則とは、収集する個人データはその利用目的に沿ったものでなければならず、かつ、利用目的に必要な範囲内で正確、完全であり、最新の状態に保たれなければならないとする原則である。
  3. 目的明確化の原則とは、個人データの収集目的は、収集時よりも遅くない時点において明確化されなければならず、その後におけるデータの利用は、当該収集目的の達成又は当該収集目的に相矛盾せず、かつ、目的の変更のつど明確化された他の目的に限定されなければならないとする原則である。
  4. 安全保護の原則とは、個人データは、本人の同意又は法律によって認められた場合を除き、目的明確化の原則に従い明確化された目的以外の目的のために、開示され、利用可能な状態におかれ、又はその他の形での使用に供されてはならないとする原則である。

正解=4

4は、利用制限の原則の説明であるため、妥当でない。安全保護の原則とは、個人データの紛失又は無制限のアクセス、破壊、使用、修正若しくは開示その他のリスクに対し、妥当な安全保護措置とり保護されなければならないとする原則である。1~3は妥当である。

難問ベスト3 行政手続法における届出に関する次の記述のうち、妥当でないものを1つ選びなさい。

  1. 届出は、行政庁に対し一定の事項を通知する行為であって、法令により義務付けられているものであるから、許認可等の申請とは異なり、行政庁の判断や対応を要することなく法律上の効果を生じる。
  2. 届出が形式上の要件に適合している場合は、提出先の機関の事務所に到達したときに手続上の義務が履行されたことになり、行政機関はこれを受理しないという対応をとることは許されない。
  3. 届出書類の記載内容に虚偽がある場合には、形式上の要件を満たしていても手続上の義務が果たされているとはいえず、その届出は法律上の効果を生じない。
  4. 出生届、婚姻届等の届出については、戸籍法によって行政手続法の適用が除外されており、その不受理については処分と位置付けられ、取消訴訟が提起されることもある。

正解=3

届出内容に虚偽があるときでも、形式的な要件に該当していれば、手続上の義務は履行されたことになるので、3は妥当でない。ちなみにこの場合において、不届出を理由にして不利益処分などの対象にはできないが、虚偽の届出(実体法上の義務の不履行)を理由に不利益処分を行うことができる。その他の選択肢は、妥当である。

難問ベスト4 次の記述のうち、自治体に対する国や都道府県からの関与の根拠となりうる法形式はどれか、妥当なものを1つ選びなさい。

  1. 省令
  2. 政令
  3. 通達
  4. 処理基準

正解=2

 「普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。」(地方自治法245条の2)により、②が妥当である。

難問ベスト5 行政手続に関する次の記述のうち、妥当でないものを1つ選びなさい。

  1. 申請に対する処分については、許認可等をするか否かの判断に必要な審査基準の作成が義務付けられている。
  2. 不利益処分については、処分基準を作成し、公にしておく努力義務がある。
  3. 申請者が行政指導に従わない旨を明確に表明しているにもかかわらず、執ように申請内容の変更を求めて申請を受け入れない対応は許されない。
  4. 届出については、届出書の記載事項に不備があれば、受理しないことができる。

正解=4

1は妥当である(行政手続法5条1項)。2は処分基準については努力義務であり、妥当である(行政手続法12条1項)。3は、このような行政指導の継続は制限されているので、妥当である(行政手続法33条)。4は、届出については、記載事項に不備があれば手続上の義務が履行されたものとならないが、受理しないという扱いはできないため、妥当でない(行政手続法37条参照)。