結果分析データ

2019年度全体講評(基本法務)

 2019年度自治体法務検定(基本法務)一般受検の検定試験は、申込者総数554名、受験者数458名であった。昨年度、台風24号による諸々の影響で、受検者が申込者の半分以下の337名にとどまったのに対して、ある程度常態に復した実施となった。今年も、地球規模の気候変動の影響下で、多くの自然災害が日本を襲ったが、罹災した方々、そして現場での活動に尽力した方々にお見舞を申し上げる。

 総受検者の平均点は1000点満点中455点で、昨年に続いて500点を割り込んでいる。昨年度検定では、900点を超えるプラチナクラスを獲得した受検者はいなかったが、今回は再び1名が獲得した。700点以上の成績を残したゴールドクラスは、昨年から若干伸びて5.6%になった。全体の成績分布は、400点~499点に、30%内外の受検者の山があり、正規分布よりは若干下方に中心があることも同様である。公務員の受検者では、都道府県職員が市区町村職員よりも成績がよい傾向も、例年通りである。
 配点の多い行政法、地方自治法については、今回それぞれ、難易度中と高(行政法)、高(地方自治法)が、他の科目に対して回答率が低いが、いずれも基礎的知見の積み上げが肝要である。世代別の平均点で、50代、60代が、より若い世代よりかなり高いこともその証左になるかもしれない。
テキストを中心におさらいをするのがなによりであるし、最新の判例動向をつかむのも重要である。例えば、地方自治法の分野で言えば、議会の自律権と議員の権利の関係について、多くの事案が登場し、最高裁も判例を積み重ねている(憲法の学習にも関わるが、最判平30.4.26は、地方議会議員の発言取消命令につき法律上の争訟性を否定し、同31.2.24は、議員が提起した名誉毀損国賠につきそれを肯定したが、本案につき議会自律権を尊重して判断すべきとした)。個人ベースでも、何ヶ月かに一度は最高裁HPの最近の判例一覧に目を通すとあれこれの発見があるだろうし、テーマを設定してグループ学習するのも切磋琢磨や日々の仕事への長い目でみての反映、そしてまた気分転換にも役立つのではないか。
テキストにおいても、最新の判例動向のフォローと的確な位置づけに勉めているので、今回好成績を収めた方々はより上位をめざし、不本意な成績だった方々も基礎固めからのスキルアップを目指して、テキスト中心の学習でがんばっていただければと考える。

2019年12月
自治体法務検定委員会