結果分析データ

2021年度全体講評(基本法務)

 コロナ禍の下、一都一道二府十五県に緊急事態宣言が発せられていた期間に実施された2021年度自治体法務検定(基本法務)一般受検の検定試験は、昨年に引き続き受験者が例年を大きく下回り、総受検者数223名にとどまった。しかしながら、かような極めて不自由な状況下でも果敢に検定試験に臨んだ熱心な受検者が200名を超えたということを銘記し、受検者の皆さんの熱意に敬意を表したい。

 総受検者の平均点は1000点満点中597点であり、昨年度に続き、平均点500点の大台を回復し、しかも600点目前の水準に達した。この総合平均点は、2011年に基本法務検定が始まって以来の最高得点である。ちなみに、従来の最高平均点は、2011年度初回の検定の576点であった。また、直近5回の検定の中で4名しかいなかったプラチナクラス(総点900点以上)を獲得した受検者も2名現れ、ゴールドクラス(総点700点以上)の達成者も総受検者の25%(56名)に及び、シルバークラス(総点500点以上)以上の認定授与者は総受験者の73%(163名)に達した。大勢の熱心な受検者の努力が見事に現れた結果といえよう。

 今年度の検定も、昨年度と同様にコロナ禍の影響により一般受検の受検者が大きく減少しているという特殊事情があるので、例年の検定結果との比較は、あまり有意味ではないかもしれないが、今回の検定において目立った点を紹介しておきたい。

 まず、憲法、行政法、地方自治法、民法の4科目の平均点が60%を超えた。特に、この数年間成績が振るわなかった行政法と地方自治法の結果が顕著によくなっている。本検定の性格上、この両分野の成績の向上は嬉しい限りである。低難度の設問の取りこぼしが少なくなっていることもさりながら、高難度の設問に対する正答率の向上もみられた。例えば、問19は、コロナ禍において注目を浴びた感染症予防法の規定を素材に国と都道府県の関係における関与法制に関する設問であり、難易度がやや高めの応用的な設問であったが、8割近い正答率であった。

 また、受検者の属性別でみると、その大多数を占める地方公務員の中では、都道府県職員が市区町村職員よりも成績がよい傾向は例年通りではあるが、今回は、市町村職員の受検者144名の平均点は603点であり、都道府県職員の平均点636点に比して33点の差にとどまっている。平均点が600点を超えていることも含め、基礎自治体の職員の皆さんの奮起を喜びたい。

 コロナ感染の拡大のため受検を断念した方々は大勢いることと思われる。そうした方々が、来年には安心して本一般検定を受検できるような状況になっていることを心から祈念する。

 最後になるが、コロナ禍の困難な条件の下で本検定をつつがなく実施して下さった主催者その他の関係者の皆様に心からの感謝を申し上げたい。また、設問4(地方自治法の分野からの直接請求に関する問題)について出題ミスが判明した。受検者の皆さんの不利益にならないようにすべての解答を正解として処理したが、この場を借りて、ご報告申し上げると共にお詫び申し上げる次第である。

2021年11月
自治体法務検定委員会