結果分析データ

2022年度第1回全体講評(政策法務)

 コロナ禍の影響が長く続く中、今年度の一般受検者は、昨年から微増となった。その9割近くがクラス認定を受けるという良好な結果であり、平均点も636点と、昨年よりも高くなり、優秀なものであった。設問は、『公式テキスト』中の基本的なものから、『公式テキスト』以外の文献などから知識を得なければならない高度なものまで用意してあるが、委員会の方で高度な設問として用意した問題でも分野によっては9割を超える正答率となっているものがあり、本検定に取り組んだ受検者の方々の意欲の高さ、あるいは積極性や優秀さがうかがえる。

 以下では、今回の結果の傾向を取り上げた上で、検定委員会が期待する、今後の学習姿勢について、コメントをしていきたい。

 今回の配点に対する平均点の割合を分野別に見ると、『公式テキスト〔政策法務編〕』の全ての分野で5割を超え、かつ、半数以上の分野で正答率が7割以上となっている。ただし、「第5章 自治制度の改革」と「第7章 情報公開と個人情報保護」は、5割強の正答率となっている。
 正答率のとくに低い問題を見ると、行政実務ではほとんど扱わない制度を問うものや、令和3年の個人情報保護法改正に伴うものなど、実務から離れた受検者には厳しかった問題であり、これらについて得点が伸び悩むのはやむを得ない面がある。だが、地方自治法・地方公務員法の条文を見ておけば難なく得点することができるようなものや、政策条例の法律との抵触性を検討する際に不可欠の知識である条例の類型論などでもうまく得点できていないものがある。これらは、政策法務を実践で究めるためには不可欠なテーマの問題であり、これらの得点率が低かった点については、やや残念なことである。

 基礎的な制度内容について確実に理解して得点率を高めていくには、まずは、『公式テキスト〔基本法務編〕』で制度的な事項をしっかり理解していくことが大切である。この基礎の上に、『公式テキスト〔政策法務編〕』の関係個所へ読み進めていくようにすることで、受検者の方々の知識と能力は、飛躍的に向上するだろう。

 検定委員会は、制度の改正や政策法務関係で見られるようになった新しい問題などを踏まえて、毎年、『公式テキスト』の記述の見直しを進めている。2022年度版は、執筆陣も見直しし、例年にないバージョンアップを行った。その内容に合わせて問題もバージョンアップさせたつもりであったが、平均点が前年を上回った。これは、受検された方々の能力が『公式テキスト』のバージョンアップを上回ったことを示しているようで、大変喜ばしい。

 今回から開始したオンライン受検は2月にも開催され、2023年度からは一般化し、かつ年2回開催する予定である。力試しの機会が増えるとともに、本検定制度がより一層利用しやすくなる。受検者各位がそれぞれ設定する目標の速やかな達成に向け、本検定を活用してくださることを願っている。

 個人で取り組むことに不安や限界を感じたときは、身近な人とグループを編成しながら、分担して報告し合う形で自己の知見を豊富にしていくという手法を試みてほしい。自治体法務の能力向上は、関係者の自学・自修が基本である。受検者の各位が、今回の検定での好成績を持続させつつ、より一層の高得点を目指されることを願っている。

2022年11月
自治体法務検定委員会