結果分析データ

2023年度第1回全体講評(基本法務)

 2023年度は、オンライン受検に一本化した自治体法務検定を年2回実施する方式の初年度であった。残念ながら、9月24日に実施された第1回一般受検の受検者数は、62名にとどまった。従前は、コロナ禍であっても秋期は250名以上の受検者があったので、おそらくは、多くの公務員の方達が慣れないオンライン受検をためらったのではないかと思われる。初めてオンライン受検のみを実施した昨年度の第2回検定も44名の受検者にとどまっていたことから、オンラインを利用した受検方法は、多くの自治体職員にとって馴染みがなく、受検しにくい事情があるのかもしれない。

 本年度第2回の検定は、2024年2月18日に実施される。場所を選ばずどこからでも受検できるオンライン受検のメリットを活かしてより多くの方々にチャレンジしてもらいたい。
少ない受検者数の条件下ではあるが、今回の検定結果の全体的な傾向を以下に紹介しつつ、若干の講評を加えておきたい。

 総受検者の平均点は1000点満点中564点であり、過去10数回の基本法務の検定中でも好成績の回となった。プラチナクラス(総点900点以上)を獲得した受検者はいなかったが、ゴールドクラス(総点700点以上)の達成者は総受検者の17.7%(11名)あり、シルバークラス(総点500点以上)以上の認定授与者は45名で、総受検者の7割を超えた(72.6%)。熱心な受検者の着実な準備の成果の表れと評価したい。

 各設問の正答率を分野別でみると、「序章」が最も好成績で68,5%、続いて「民法」(62,2%)、「地方自治法」(61,2%)、「刑法」(54,8%)、「行政法」(54,7%)、「憲法」(47,5%)という順番である。例年、比較的成績の良い「憲法」の結果が振るわなかったのは、意外である。問14の表現の自由に関する基本的理解を問う設問や問32の地方自治特別法に関する憲法95条に関するオーソドックスな設問の正答率が芳しくなかったこと、そして問52のようなやや理論的ではあるが「法律の留保」に関する基礎的理解を問う設問の正答率が極めてよくなかったことなどが反映したものと考えられる。

 他方、民法の分野では、請負に関する設問24、債権・債務の基本原則に係る設問31、民事裁判のIT化に関する設問56、親族に関する設問70において80~90%を超える正答率であった。比較的易しい問題の取りこぼしがなかった結果が、全体の正答率を引き上げたものであろう。

 緊張感のある会場受検の味も捨てがたいが、リラックスして平素の実力が発揮できるオンライン受検を、大勢の自治体職員が活用してくれることを大いに期待したい。

2023年11月
自治体法務検定委員会