結果分析データ

2023年度第1回全体講評(政策法務)

 当検定(一般受検)は、本年度からオンライン方式により年2回開催することとなった。このような新しい受検方式をとったことが影響してなのか、今回の一般受検者は、かなり少なかった。ただ、2023年2月に、昨年度の第2回検定(一般受検)を試行的に実施していたこともあり、前回検定からまだ日が浅かったということも今回の受検者数に影響しているのではないだろうか。

政策法務の受検者数は、30名強であった。受検者の9割以上がクラス認定を受けるという良好な結果であり、平均点も681点と、昨年度の第1回よりも約50点、第2回よりも約30点高くなっており、優秀であったといえよう。設問は、『公式テキスト』中の基本的なものから、『公式テキスト』以外の文献などから知識を得なければならない高度なものまで用意してあるが、委員会の方で高度な設問として用意した問でも全員が正解するというものもあった。本検定に取り組んだ受検者の方々の意欲の高さ、あるいは積極性や優秀さがうかがえる。

 以下では、今回の結果を概観した上で、検定委員会が期待する、今後の学修姿勢について、若干のコメントをする。

 今回の配点に対する平均点の割合を分野別に見ると、『公式テキスト〔政策法務編〕』のほぼ全ての分野で5割を超えていて、とくに「第2章 立法法務の基礎」と「第3章 解釈運用法務の基礎」の分野の正答率は高かった。逆に正答率の低かった問題は、行政不服審査法の制度と運用に関わる難解なものや、改正個人情報保護法に基づく自治体の実務について鋭く問う難しいものであり、実務に携わることのない受検者には難問であったと思われる。

 もっとも、個人情報保護法は、自治体の事務において、条例から法律による規律へと重要な変更を遂げた。今後は、同法に基づく適正な事務処理が求められるから、今一度、新しい個人情報保護法について、学修をしてほしいと考える。

 なお、個人情報保護法制は、一般的な制度でもあるので、今後は、『公式テキスト〔基本法務編〕』で制度的な事項をしっかり理解して、それを踏まえて『公式テキスト〔政策法務編〕』の関係箇所へ読み進めていただきたい。

 検定委員会としては、新しい体制となった受検制度について、適宜、実施状況を分析しながら、より多くの方が受検されるように企画をしたいと考えている。また、受検された方それぞれが能力を高められることを、心から願っている。

なお、個人で取り組むことに不安や限界を感じたときは、身近な人とグループを編成しながら、分担して報告し合う形で自己の知見を豊富にしていくという手法を取り入れてほしい。また、他の資格試験の受験者のSNSを見ていると、「本日はここまで学修した」といった趣旨の投稿がよくなされている。自分自身が本日はどこまで学修するのかを宣言して学修を進めるというのは、プレッシャーも高くなるが、有益なように思われる。受検者の各位が、今回の検定での好成績を持続させつつ、より一層の高得点を目指されることを願っている。

2023年11月
自治体法務検定委員会