法律を常に確認するという風土を維持・継続させる

石川亮 様・八木徹 様
市川市役所 人材育成課
石川亮 様・八木徹 様

平成28年度より、自治体法務検定をご採用いただいております市川市役所人材育成課のお二人にお話を伺いました。
市川市役所における職員の法務能力向上における取り組みや、自治体法務検定に対する評価についてお聞きしました。

~自治体法務検定の導入を決めた理由を教えてください~
当時、自治体が政策を推進していく上で欠かすことのできない基本法の知識や、自治行政を推進する際に必要となる国や自治体の法制に関する理解力などを向上させることを目的とした研修を企画していました。実施にあたり、自治体法務検定を効果測定として導入することで、目的を実現できると考えたためです。
~自治体法務検定をどのように活用していますか?また、研修などは行っていますか?~
前述のとおり、自治体法務検定は、研修の効果測定として活用しております。職員が外部の検定を受けることで学習に対する意識が変わり、内部で実施する効果測定では得られない個人の高いスキルアップにつながると考えています。
研修についてですが、受検生は、受検の約半年前に1日研修を受講し、検定に向けた学習のコツを学びます。研修は、受検までのモチベーションを保つために実施しており、なぜ自治体職員にとって法律の知識が必要とされているのかという本検定を受ける動機づけもしっかりと行います。
また、研修以外に自主勉強会を2回実施しています。検定は難しいという話を過去に受検した職員から聞いたためか、検定を控えた受検者たちの参加率は、非常に高いものとなっています。勉強会の参加者には、人材育成課の職員が過去問を参考にして作成した問題を模擬検定という形で解いてもらったり、グループワークでその答え合わせをしてもらったりしています。模擬検定は、実際の試験時間と問題数を3分の1にしたボリュームで実施しています。参加者からは、「自分ではなかなか勉強を進められないので、このような機会があるとありがたい」という声もありました。
 なお、効果測定の結果は、例年、8割以上の職員が一定の基準を上回るという結果が出ています。
~人材育成事業としてどのようなことに取り組んでいますか?~
市川市人材育成基本方針に定めた「自ら伸びる」、「職場で伸ばす」、「制度で伸ばす」の3つの視点を軸として、職員の人材育成に取り組んでいます。具体的に申しますと、「自ら伸びる」では、自主研修の支援として、資格取得助成制度や自主勉強会の開催などを行っております。「職場で伸ばす」では、各課で専門知識や技能習得を促進するための支援として、外部研修などに参加するための負担金支援を実施しています。また、人事評価制度による部下指導をマンツーマン型のOJTと位置づけ、新評価者研修の充実を図っております。最後に「制度で伸ばす」についてですが、人事管理制度や職員研修などの各種制度を人材育成の視点で連動させ、職位ごとに集合研修を実施しています。
~職層ごとにどのような研修を行っていますか?~
1級(主事)には、内部講師による地方自治法・地方公務員法・行政法といった基本法の研修を行い、効果測定も実施しています。この研修は市川市役所で古くから行っており、各職員の法務能力の礎となっています。
2級(主任主事)には、“法の基礎を再確認させ、法の解釈と運用を修得させること”を目標として、憲法や行政法、民法の研修を実施しています。3級(主任)には、“政策を推進して行く上で欠かせない行政法を中心に法務知識を再確認させ、法務能力を向上させること”を目標に研修を実施しています。
これらの法務研修の集大成が、前述の4級(主査)を対象とした「自治体法務検定」を効果測定として設定している「自治体法務研修」となっており、昇任前研修として実施しています。
~自治体法務検定の評価はいかがですか?~
研修運営という視点では、自治体法務検定で客観的に職員の法務能力を確認できることに魅力を感じています。また、自治体法務検定のような問題を内部で用意するのは難しいこともあり、毎年異なる問題が安定して供給されることも評価しています。
受検した職員の感想は、「法令の基本を改めて学べる良い機会だった」「法令の知識を定着させ、日常の業務で活用するために良い機会だった」「検定をきっかけに法令を体系的に学べたため、今後は条例や規則に関する法令の習得にも幅を広げていきたい」といった前向きな声を多く聞くことができています。
~おわりに~
市川市役所では、職員の法務能力を組織的に高めようと力を入れてきた時代がありました。そのことから、職員には、何か事案が起きた際、法律や条例・規則をしっかり確認するという風土が、根付いていると思います。そうした風土を引き続き守っていくために、どのような職種の職員であっても、法的な視点で物事を考えたり、アンテナを高くして注意を払えたりできるように、全ての職員が適切な業務遂行できるよう、人材育成課としても引き続き取り組みを行っていきたいと思います。