「地域経営感覚に優れた職員」を育てる

岡田濃 様
大府市企画政策部企画政策課 主幹
岡田濃 様
自治体法務検定を貴団体で取り入れることになったきっかけは何ですか?
地方分権の進展や情報化、団塊世代の大量退職等、自治体を取り巻く環境は大きく変化しており、特に市民ニーズは、今後ますます多様化・複雑化していくものと思われます。大府市においては、地域資源を有効に使い、地域全体のサービス水準を向上、活性化させるため、「地域経営感覚に優れた職員」を目指すべき職員像の中心に位置づけ、人材育成を図っています。
特に、今後職員に求められる能力・意欲の重要な要素として「政策形成能力のアップ」を目標に掲げ、総合的、長期的な視点に立って、地域の特性を生かした先進的・個性的な政策を立案・実施・評価できる政策形成能力、すなわち”課題発見・解決・設定能力”、”政策立案能力”、”施策評価能力”及び”危機管理能力”の強化が必要であると考えております。
こうした中、自治体職員個々の能力の向上が直接「自治体力」のバロメーターになるとの考え方に立ち、職員一人ひとりが政策法務に関する知識・考え方を体系的に習得し、その成果を客観的に測定・評価する有効なツールとして、「自治体法務検定(政策法務)」を活用するに至りました。
日々どんな場面で職員に自治体法務が必要だとお感じになられていますか?
近年の自治体を取り巻く大幅な環境変化に伴い、複雑化・専門化する行政課題に的確に対応し、市民サービスを向上させるためには、従来の発想にとらわれず、今までにない新しい発想に積極的に取り組んでいかなければならないと考えています。
こうした考え方の下、自治体法務の観点からも、地域の特性を活かした政策を立案、実施するためには、国の通達や解説書等に従った法令等の解釈や、条例・規則の審査等の、いわゆる従来型の法制執務業務にとどまらず、地域政策実現のための自主的な条例の制定や、(通達廃止に伴う)法令の自主的解釈、国に対する立法提言等、職員自ら考えて行える自治立法の企画力や法務能力が必要です。つまり、法令に使われる職員ではなく法令を使おうとする職員が求められています。
大府市団体受験担当者 岡田さん
職員に自治体法務検定の受検で何を期待していますか?
検定の受検を通じ、実務に役立つ知識や技能を幅広く習得するとともに、主体的に法令を解釈・運用する能力を養うとともに、地域の課題に対する問題意識を持ち、大府市独自の政策を考えるきっかけづくりとしてもらうことを期待しています。また、組織全体として相互啓発的な雰囲気を醸成し、職員一人ひとりが学習意欲の向上に目覚めてもらうことも狙いの一つとしています。
受検は自治体の公費ですか?受検者の私費ですか?
職員の自己研鑽の一環として位置づけ、受検者の私費によることとしています。
受検はどういった職員を対象に、どのように働きかけましたか?
「平成22年度職員研修計画」における特別研修(政策形成能力向上研修)に位置づけ、主に係長以下の職員を対象に同研修の庁内募集を行い、18名の受講応募がありました。この研修の成果を客観的に計る指標(効果測定)として、自治体法務検定を受検してもらうものです。
受検前に受検者で勉強会などを実施しましたか?実施したのであれば、具体的にどのようなことを行いましたか?
『自治体法務検定 公式テキスト(政策法務編)』〈自治体法務検定委員会編〉を研修受講者全員が購入し、同テキストを中心に受検前に計6回(1回あたり2時間)の研修会を2010年7月から実施しています。