結果分析データ

平成22年度総評

 平成22年6月20日(日13:00から、「第1回 自治体法務検定 政策法務」が、全国13会場(準会場を含む)において行われました。申込期間内に、全国から1,350名の申込みがありましたが、当日実際に受検されたのは 1,201 名でした。当日は、ほとんどの地域が梅雨の季節にあり、一部の地域には集中豪雨が襲うなど、受検環境としては決して万全なものではありませんでした。また、宮崎県の口蹄疫問題が深刻さを増す中での検定でした。いろいろ苦労をされながら、定められた検定会場に向かわれた受検者の方も多かったのではないでしょうか。受検者の皆様の「自治体法務」にかける熱い思いには、自治体法務検定委員会を代表して、心から敬意を表したいと思います。

 本検定は1,000点満点ですが、最高点は990点(全70問のうち1問のみ誤り)、平均点は697.2点という結果でした。

 自治体法務検定委員会では、3つのクラス認定を行いました。「プラチナ」クラス認定(900点~1,000点)、「ゴールド」クラス認定(700点~900点未満)、「シルバー」クラス認定(500点~700点未満)の3つです。500点未満は、認定を行いませんでした。クラスごとの分布は、「プラチナ」が53名(約 4.4%)、「ゴールド」が580名(約48.3%)、「シルバー」が467名(約38.9%)、「認定なし」が101名(約8.4%)という結果でした。

 テキスト内容による分野別得点分布を見ますと、問により難易の差があったのかもしれませんが、正答率の高かった分野と正答率の低かった分野がある程度はっきり現れており、受検者の皆様の得手・不得手が垣間見える結果ともなっています。正答率が高かったのは、第2章「立法法務の基礎」の 83.8%、第1章「自治体法務とは」の77.8%、第8章「公共政策と自治体法務」の75.7%、反対に正答率が低かったのは、第6章「行政手続とパブリックコメント」の45.1%、第3章「解釈運用法務の基礎」の56.4%、第5章「地方自治の制度──地方自治法」の 64.3%でした。自治体の事務は、行政手続ルールに基づいて執行されていること、そして、地方自治法という基本法に基づき行われていることを考えますと、この分野の正答率の低さは大変心配されるところですが、他方、総体的に見れば、プラチナクラス、ゴールドクラスを合わせると約半数の方が高得点で頑張っておられます。受検者の皆様には、ご自身の章毎の得点が明示されているはずですので、得点をつぶさにご覧いただいて、ご自身の強かった部分、弱かった部分を分析していただき、今後の研鑽のみちしるべとしていただきたいと思います。

 地方分権改革(今は地域主権改革ですが)が確実に推進され、これからの自治体は独立独歩の道を歩まなければなりません。今までのように、困ったときは国(あるいは県)にお伺いを立てるという方法はとれません。また、住民の権利意識の高まりを受けて、福祉・環境・安全安心・土地利用・情報・監査など、住民からの要望・要求は日に日に強くなっています。これら自治体を取り巻く厳しい環境の中で、自治体の職員に求められる法務能力は格段に高いものとなっています。受検者の皆様方が、このたびの検定により、幾分でも自信と気概を取り戻すことができたのであれば幸いです。

平成22年8月
自治体法務検定委員会
 委員長 成田頼明