結果分析データ

平成23年度総評

 このたびの東日本大震災により、身内の方を亡くされ、また、甚大な被害を受けられた、被災地の住民の皆様、自治体職員の皆様、関係機関の皆様に、衷心よりお悔やみとお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈りいたします。

 さて、平成23年7月10日(日)、「平成23年度自治体法務検定 一般受検」が、全国18会場(準会場を含む)において行われました。本年が第1回目の検定である「基本法務」が10:30、昨年に続く「政策法務」の第2回検定が14:00からというように、一日で2つの検定を連続して行うという非常に中身の濃いものとなりました。申込期間内に、全国から、「基本法務」1,021 名、「政策法務」524名の、合計1,545名の受検申込みがありましたが、当日実際に受検されたのは、「基本法務」839名、「政策法務」441名の、合計1,280名でした。本年は、冒頭に申し上げましたように、東日本大震災という未曾有の大災害への対応に多くの自治体職員の皆様が携わるなど、厳しい環境の中での検定でした。当委員会としても、自治体職員の皆様のおかれた厳しい環境を考えまして、本年は検定を開催すべきかどうか随分悩みましたが、このような大きな試練が自治体を襲った今こそ、「自治体法務」の大切さに思いをいたすべきとの思いから、予定どおり平成23年度の検定を実施させていただいたという次第です。何とかやりくりして受検してくださった方、申込みされながら受検がかなわなかった方、諸々の事情から受検を思い止まられた方というように、多くの方にとって、厳しく困難な環境の中での本年の検定であったかと存じます。自治体職員の皆様の「自治体法務」にかける強い情熱に、自治体法務検定委員会を代表して、心から敬意を表します。

 本検定は、前年と同様、70問1,000 点満点で行われましたが、最高点は、「基本法務」が985点(70問のうち誤りは1問のみです)、「政策法務」が900点、平均点は、「基本法務」が576点、「政策法務」が676点というものでした。「基本法務」の方が「政策法務」より平均点が低くなるであろうことは、当初からある程度予想しておりました。憲法から刑法まで出題範囲が広いこと、「基本」とある以上「政策法務」よ りは簡単な問題で構成されているであろうと受検者が高を括り、結果として平均点を押し下げるのではないかということ、などの理由からです。でもそれは間違いで、確かに「基本法務」の出題範囲は広くなっておりますが、「基本法務」が「政策法務」 より簡単な検定であるということはなく、自治体職員として身につけていただきたい基本的な能力を磨くのが「基本法務」であるはずなのです。 自治体法務検定委員会では、3つのクラス認定を行っております。「プラチナ」クラス(900~1,000 点)、「ゴールド」クラス(700~899 点)、「シルバー」クラス(500~699 点)の3つです。クラスごとの分布については、「基本法務」は、「プラチナ」が20名(約2.4%)、「ゴールド」が190名(約22.6%)、「シルバー」が326名(約38.9%)、「認定なし」が303名(約36.1%)、一方の「政策法務」は、「プラチナ」が8名(約1.8%)、「ゴールド」が206名(約46.7%)、「シルバー」が180名(約40.8%)、「認定なし」が47名(約10.6%)でした。

 テキストの内容による分野別平均点をみますと、「基本法務」も「政策法務」も、平均点の高かった分野と平均点の低かった分野がある程度はっきり現れており、本年も受検者の皆様の得手・不得手が垣間見える結果となりました。受検者の皆様には、分野ごとの得点をお手元にお送りしておりますので、皆さん自身の得点をつぶさにご覧いただいて、ご自身の強かった部分、弱かった部分を分析していただき、今後の研鑽のきっかけとしていただきたいと思います。

 地方分権改革(地域主権改革)は、今まで国がもっていた権限を自治体に移譲するというものであり、これにより、自治体は自らの意思と判断で自治行政を行うことができるようになることが期待されております。しかしこれは、見方を変えれば、自治体に今まで以上に責任が課されることでもあるのです。対応を誤れば、自治体自身が非難されるのです。そのためには、自治体職員の皆様一人ひとりが、法務を的確に処理し、政策を適切に実現する能力を身に付けていかなければなりません。「自治体法務検定」がそのための確かなツールとして、自治体職員の皆様に末永くご活用いただけることを心より祈念しております。
平成23年11月
自治体法務検定委員会
 委員長 成田頼明