結果分析データ

平成29年度全体講評(基本法務)

 平成29年度自治体法務検定(基本法務)一般受験の検定試験は、受験者総数683名(申込者総数789名)で前年度のそれを200名以上大きく上回った。総受験者の平均点は1000点満点中524点で、これも前年度を4点上回った。熱心な受験者の増加がみられたと評価できる。

 平成26年度から29年度の4年間のうち、平成27年度に500点を下回ったが、これを例外として総受験者の平均点は520点台を推移している。認定なしの受験者が6割近くになった平成27年度に比べて、この2年間は、55%以上の受験者がシルバークラス以上の認定を受けている。今年度の内訳は、プラチナクラス(900点以上)が2名(全受験者数の約0,3%)、ゴールドクラス(700点以上900点未満)が80名(全受験者数の約11,7%)、シルバークラス(500点以上700点未満)が292名(全受験者数の約42,8%)となっている。特に、平成26年度に3名が取得して以降絶えていたプラチナクラスの達成者2名が現れたことは特筆される。ちなみに、これまで7回実施された自治体法務検定(基本法務)におけるプラチナクラス取得者の総数は、これで34名となった。決して達成困難な目標ではないので、全国の自治体職員の皆さんは、プラチナクラスを目指して学修に励んでもらえれば幸いである。
 人数は少ないが学生の受験者もおり、現役の公務員は、さすがに平均的によりよい成績を修めている。公務員の中では、都道府県職員が市区町村職員よりも成績がよい傾向も変わらず、基礎自治体の職員の奮起を期待したい。年代的には、やはり20歳代の若手職員に比べて、30歳代以上の経験を積んだ職員が、平均的に好成績であることも当然であろう。実務を通じて得た経験や知見も成績に反映されるであろう本試験の性格に鑑みて、一度受験した職員の皆さんが、クラスアップを目指して自己研鑽と2度、3度の再チャレンジに挑むことは、本検定制度の有意義な活用といえるであろう。
 出題分野別にみると、年度によって平均点のアップダウンの差が大きい「序章・基本法務を学ぶにあたって」を除けば、「第2章・行政法」の分野からの設問は、この数年、正答率が常に平均50%を下回っており、総じて成績がふるわない。やや抽象的な一般理論が中心となる行政作用法総論の分野や、訴訟法などの職務との直接の関連性が薄い行政救済法分野が中心となるからではないかと推測される。例えば、取消訴訟の被告適格に関する問69の正解者が100名に充たなかったことなどはその典型である。しかし、2014年の行政不服審査法改正による審理員の審査、不服審査に当たる自治体内部の審査会の設置など、この分野に携わる自治体職員は増えるはずであるし、行政職員にとって基礎の基礎となる行政法一般論の考え方や知識は、本試験の受験を契機にしっかりと確認しておいてもらいたいところである。その意味で、例えば、行政上の不服申立てに係る審理員に関する問29の正答率が90%を超えたことなどは、改正されたばかりの行政不服審査法に関する問題であることを考慮に入れても、今後の自治体職員の法務知識に対する期待を抱かせる結果であるといえよう。

平成29年12月
自治体法務検定委員会