大事なことは、職員が自ら勉強する姿勢や習慣を身に付けること

2016.12.6

~庁内に検定の勉強会が立ち上がりました~
尼崎市総務局人事管理部 人材育成担当課長 神田達也さん(写真中央)
同係長 中川真史さん(写真左)・同主事 荒川  萌さん(写真右)
-自治体法務検定を導入された動機を教えてください。
過去に、役職員昇任試験制度として、主任試験を実施していました。これは円滑な職場運営を推進することを目的に、一般職と係長の間に主任という階層を設けていたものですが、近年の組織のスリム化による大幅な職員数の減や組織の年齢構成の変化もあり、平成19年を最後に主任試験を廃止しました。当時の試験内容は地方公務員法や地方自治法だったのですが、合格した先輩職員が勉強会を開催して、後輩職員に先生役としてフォローを行うといった、職員自らが自発的に勉強し、また、教え合うという良い職場風土がありました。
こういった風土をもう一度組織に広げていきたいというのが『自治体法務検定』導入のきっかけの一つです。
庁内研修の中に法務はありますか?
若手職員を対象に地方公務員法と地方自治法は必須で実施しています。他に、希望制で法令の読み方・調べ方研修や、法務ゼミという、自治関連の判例を取り上げ、お互いに研究して発表・意見交換をするゼミ形式の研修も昨年度から新たに実施しています。
職員採用試験の中に法律の専門分野はありますか?
昨年までは、一次試験の中で、教養試験と専門試験が選択できる方式でした。どちらか自分の得意な分野で受験でき、専門試験でしたらその中に法律系科目があり、教養試験でしたら一般知識の分野の中に少しですが法律関係の問題がありました。教養試験を選択する受験生が多かったですね。近年は毎年100人を超える職員を採用をしているのですが、より幅広く人材を確保すべく、今年度から試験方法を大幅に見直しています。
この見直しで一次試験の受験科目をSPI(能力検査・性格検査) に切り替えましたので、これまでのような公務員試験対策は不要になり、民間企業志望の方にも受験して頂きやすくなりました。一方、このことにより専門試験がなくなり、学生時代に法律を専門に勉強していた人の入庁割合が減るのではという危惧は生じています。
今後ますます入庁後に職員の法務能力を育成していく仕組みが大切になってくると感じています。そういう意味でも、『自治体法務検定』の導入は効果を発揮するのでは、と考えています。
『自治体法務検定』の受検対象者はどのレベルですか?
給料表の2級の職員を対象にしています。もう少し具体に言いますと、給料表には1級から8級あり、1級から3級は一般職の階層になります。採用時の試験区分によるのですが、大卒区分であれば、1級を3年経験したら2級に昇格し、2級を4年経験したら3級に昇格します。もちろん勤務成績や出勤状況に問題がないことが前提です。
 『自治体法務検定』では、その2級の職員をターゲットにしています。通常であれば2級を4年間経験することが3級昇格の条件なのですが、『自治体法務検定』を受けて2科目ともにゴールドクラス以上の成績であれば、3級昇格に必要な2級在職期間を最大2年間短縮する仕組みです。
しかし大事なことは、結果よりも、受検を決心し、公私ともに日々忙しい中で、工夫を凝らして試験当日に向けて勉強していく、こういうことが大切だと考えています。ですから、結果に関わらず、職員が自ら勉強する姿勢や習慣を身に付けてくれれば、と思います。
『自治体法務検定』受検を目指した勉強会はありますか?
職員が勤務時間外に自発的な活動を行う「自主研修グループ」があります。登録したグループには、会議室の貸出し等の支援を行っていますが、昨年度に『自治体法務検定』の勉強会が1グループ立ち上がっています。
受検者は特定の部署に偏りますか?
特に部署にも偏りなく、職種でみても、事務職、技術職と幅広く受検しています。
訴訟についてはどう取り組まれているのですか?
訴えが起きた原課と法制課で連携して対応しますが、件数でいうと毎年二十数件といったところでしょうか。税に関する処分について市民の方からの訴訟のほか、補助金の支出に対する根拠が違法ということで訴訟となることが目立ちますね。
訴訟を円滑に処理していく上で、職員の方の法務に関する能力について課題はありますか?
訴訟レベルの問題になりますと、原課もどうしても法制課に頼ってしまうのが現状です。法制課の職員の声として、もちろん専門部署として対応していくが、原課においてももう少し法律の基礎的な知識についてレベルアップしてほしい、という思いは持っているようです。
『自治体法務検定』で好成績を収めた職員の活用については何かお考えがありますか?
今回、勉強会が1グループ立ち上がったのですが、もう少し勉強会が増えてほしいと思っています。今回の『自治体法務検定』で優秀な成績を収めた職員が先生役として勉強会を立ち上げてくれると嬉しいのですが、そこを強制することはできません。今、考えているのは、ゴールドクラス以上の成績を収めた職員に、試験勉強での悩みや学習法などを聞けるアドバイザー的な位置づけを行うサポート制度のようなものを設けられないかということですね。

ありがとうございました。

さらにこの後、プラチナクラスを獲得したお二人の職員の方からお話を伺うことができました。
牧さん、松森さんは、入庁以来お二人とも下水道部で勤務されており、法律について本格的に勉強されたのは、今回が初めてという事でした。そのお二人が見事、政策法務でプラチナクラスを獲得されました。勉強されたテキストには、猛勉強の跡が……